行政書士ロビン法務事務所

🌿 突然の別れ、不安を安心へ導くお手伝いを
🌿相続発生後の手続き

「1→2→3」の順番で進めることが一般的です(内容によっては並行して確認・手続きを進めます)。1と2は「相続開始後3か月以内」に進めることをおススメします。
1:相続人確認、遺言書確認、遺産確認
2:遺言書の検認、遺産分割協議書の作成
3:金融機関手続、相続登記などの手続
《いつまでに、誰が、何をするのか》
相続が発生すると、多くの確認や手続きが必要です。市区町村役場、金融機関、保険会社、年金事務所、契約先、法務局、税務署などへの届出や手続きは複数あり、煩雑な手続きが多く、時間も手間もかかります。これらは限られた期限内に行う必要があり、身内の方がお亡くなりになった後、このような複雑な確認・手続きを相続人だけで行うのは心身的に困難です。
ご自分おひとりで悩まず、先ずは専門家にご相談ください。
※相続放棄の場合は、家庭裁判所に申述書を提出しなければなりません。以下は裁判所HPより申述書記入例の抜粋

🌿法定相続人と相続分

先ず、配偶者は常に相続人となります。配偶者以外の者が相続人になる順位は民法で決まっています。このような相続人を「法定相続人」といいます。
第1順位:子(または孫)の直系卑属
第2順位:父母(または祖父母)の直系尊属
第3順位:兄弟姉妹(または甥・姪)
第1順位の者がいない場合は第2順位に、第2順位の者もいないと第3順位となり、法定相続人は第3順位までとなります。第1順位の孫、第3順位の甥・姪が相続人になることを「代襲相続」といいます。図において、長女が被相続人より先に他界した場合、長女の子供(被相続人の孫)が長女の代わりに代襲相続人になります。
また、図において、被相続人は離婚歴があり、離婚した元妻との間に子がいる場合、前妻の子も相続人になります。
次に、法定相続人の法定相続分の割合は以下になります。
・配偶者のみ:配偶者が全部
・配偶者と子:配偶者1/2、子1/2
・配偶者と父母:配偶者2/3、父母1/3
・配偶者と兄弟姉妹:配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
※子、父母、兄弟姉妹:複数人の場合は均等配分
🌿遺産分割事件の実態

"我が家は、子供同士、仲が良いので相続で揉めることはない"
"遺せる財産はわずかだから問題はない"
という方は多いのではないでしょうか。しかしながら、家族で揉めて【相続が争族】になるケースは年々増えています。表は令和6年司法統計年報のデータです。家庭裁判所で争った遺産額をみると、
・遺産額1,000万円以下:35.6%
・遺産額5,000万円以下:78.0%
この額は、不動産、預貯金など全ての遺産額になります。遺産額が高額な方が揉める割合が少ないのはなぜでしょうか?。おそらく、揉めないための生前の対応(遺言書の作成など)がなされている証だと思います。遺言書がない場合、相続人の間で「遺産分割協議書」を作成し、《誰が、何を、いくら相続するか》を文書にしなければなりません。各種手続き(金融機関、法務局など)には遺産分割協議書が必要です。

行政書士は、相続人の調査(戸籍を収集し確定)、遺産の特定、遺産分割の取り纏めなど、各種の確認・手続きを、お手伝いします。基本的には、相続発生後、10ヵ月以内に相続税の申告・納税が必要です。時間があるようですが、あっという間に過ぎてしまいます。そのため、遺産分割協議が必要な場合には、一日でも早く専門家にご相談ください。
🌿遺産分割協議書の作成

遺産分割協議書とは、亡くなった人(被相続人)が残した財産を、誰がどれだけ受け取るかを、相続人全員で話し合って決めた内容をまとめた書類のことです。
亡くなった人が「土地・預金・株式」を持っていた場合、「土地は長男、預金は長女、株式は次男が相続する」といった話し合いをして、 その結果を正式な文書にして残します 。
法的義務はありませんが、作っておかないと各種手続きが進まないことがあります。 たとえば、不動産の名義変更(登記)や銀行口座の解約などには、この書類が必要です。作成には相続人全員の合意が必要です。誰か一人でも納得していないと協議書は成立しません。また、一度作ったら、勝手に変更はできません。変更するには、再度、相続人全員の合意が必要です。
作成時のポイントとしては、
- 相続人の確定が前提
- 相続人全員の合意が必要
- 財産は正確に記載(どの財産を誰が相続するのか。例:「〇〇銀行の預金は長女が相続する」など)
- 署名・実印・印鑑証明書が必要
- 作成後に見つかった財産の対応も記載(例:「新たな遺産が見つかった場合には〇〇が相続する」など)
※以下、法務局民事局HPより遺産分割協議書のイメージ抜粋


🌿デジタル遺産の管理

故人が遺された財産には、デジタル財産(またはデジタル遺産)と呼ばれるものがあります。デジタル財産とは、「金融機関の通帳(紙)、手元にある現金(タンス預金も含む)、不動産」など、手に取って確認できるような財産(有体物)ではなく、デジタル機器に保存されたデジタルデータ(スマホやPCの中のデータ)やオンライン上のデジタルデータ(SNSのアカウントも含む)といった無対物を意味します。故人のデジタル財産はデジタル遺産となります。一般に、IDやパスワードを使ってログインしオンラインサービスを利用するにはアカウントが必要です。オンライン上のデジタル遺産を放置した結果、アカウントの乗っ取りなどにより、財産的価値のあるデジタルデータが盗まれるリスクがあります。また、財産的価値があれば遺産リストに含めた相続手続きが必要な場合があるため、デジタル遺産の放置は、税法上の問題を招くリスクが想定されます。
デジタル遺産の法的な定義はありません。通常、ネット上で管理、スマートフォンやパソコンなどのデバイス上で管理されており、ネット上のサービスやデバイス上のデータにアクセスするには、"IDやパスワード″が必要です。デジタル遺産は故人のみが知る情報が多く、かつ、サービスやデバイスには他人がアクセスできないようロック機能を設定しています。生体認証(指紋、顔)、パスワード(4桁の数字)でロックされている場合、故人のデバイスの中身を確認するのは困難です。指紋認証は「亡くなった方の指では、電気反応や血流がないため、センサーが反応しません」。また、顔認証は「目の動きや顔の微細な変化などを捉えて認証」します。つまり、故人の指や顔ではロック解除が不可能です。4桁のパスワードも「入力回数制限」があります。そのため、最も重要なことは、相続人が故人のデジタル遺産にアクセスできるようにしておくことです。また、デジタル遺産は、財産の処分(解約、売却、名義変更など)にも特徴があり、対処方法はさまざまです。デジタル遺産は無体物ではあることから、民法85条の「物」ではありません。従って、民法206条に基づく所有権の返還・引渡請求はできないと考えられます。デジタル遺産は契約(利用規約も含む)や著作権法などの別の法的管理や問題が発生します。デジタル遺産を所有している場合には、遺産相続の方法をデジタル遺産の取り扱いに精通した専門家にご相談することをおススメします。当事務所では、エンディングノートを用いたデジタル財産の管理方法などを含め、デジタル財産の管理や、デジタル遺産となった後の取り扱いなどをアドバイスさせていただきます。

こんなときは?
❶相続放棄は必要?

【Q】故人の法定相続人は「妻、長男、長女」の3名です。故人は遺言書を遺していません。法定相続人間の協議の結果、「子ども2名は各々の相続分を放棄して、遺産は全て妻に相続させることで合意」し、遺産分割協議書を作成しました。相続があったことを知ってから、相続放棄をする場合には、3か月以内に家庭裁判所に申し立てることは知っていますが、遺産分割協議書を作成したことから、家庭裁判所に相続放棄の申立ては不要と考えています。何か問題はありますか?
【A】まず、遺産分割協議での「相続分の放棄」と、家庭裁判所への「相続放棄の申立て」は同じではありません。前者は「遺産は何もいらないと言ったに過ぎず、子ども2名は相続人」になります。一方、後者は「相続人の立場そのものを辞退」して、故人の権利や義務を一切受け継がないことを意味します。そのため、前者は「故人に借金等の債務があれば、借金を背負う」ことになります。十分な債権債務調査を実施し、債務がないことが確実でない限り、本ケースでは万が一の備えとして、家庭裁判所への相続放棄の申立てをおススメします。
❷相続人が行方不明?

【Q】故人の現在の家族構成は「妻、長男、長女」です。故人は遺言書を遺していません。 故人には離婚歴があり、前妻との間に子が1名います。故人は、再婚後、前妻・子どもとは「音信不通の状態」です。長男と長女は、前妻の子がいたことを初めて知りました。前妻の子を探しましたが行方不明です。そこで、「妻、長男、長女」 の3名で遺産分割協議を進めようと思います。何か問題はありますか?
【A】法定相続人は「前妻の子」を含めて4名です。全相続人での遺産分割協議が必要ですが、前妻の子との協議は不可能な状況です。このような場合、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任の申立てをし,選任された不在者財産管理人が不在者に代わり遺産分割協議に加わることにより遺産分割をすることができます。 その後、前妻の子が現れた場合には、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任取消しの申立てを行います。ここで、前妻の子が遺産分割協議書の内容に合意できないと、遺産分割協議のやり直しなどが必要になることがあります。このような複雑なケースでは、初期段階より士業者へ相談して進めることをおススメします。
❸子供がいない夫婦の場合?

【Q】私たちには子供がいません。お互いの両親も他界しており、配偶者以外の法定相続人は兄弟姉妹のみです。配偶者が他界した場合、故人の遺産は全て配偶者に相続させるつもりです。また、一人になり自身が他界した場合、遺産は「故人の遺産は兄弟姉妹ではなく、私たちの面倒をよくみてくれる甥Aに不動産と預貯金の半分を遺贈し、預貯金の半分は特定の団体に遺贈寄付したい」と思います。この場合、どのような準備をすればよいでしょうか?
【A】夫婦それぞれの「公正証書遺言」を作成し、遺言には《故人の全財産は配偶者に相続させること》、《兄弟姉妹には相続させないこと》を明記してください。また、必ず《遺言執行者を指定》してください。次に、一人になり自身が他界した場合も、公正証書遺言を作成し、《不動産と預貯金の半分を甥Aに遺贈すること》、《預貯金の半分を団体に遺贈寄付すること》、《兄弟姉妹には相続させないこと》、そして、《遺言執行者を指定すること》を明記してください。なお、甥には「生前贈与」という形で財産を渡すこともできますが、生前贈与は通常、税負担が重くなるため、遺言による遺贈を選択されるケースがあります。税金対策は税理士にご相談ください。本ケースのように、財産分与が複雑なケースや、親族間で揉める可能性があるようなケースでは、初期段階から士業者にご相談することをおススメします。
❹デジタル遺産がある場合?

【Q】夫が急死しました。夫は仕事でもプライベートでも、スマホやパソコンを頻繁に使用していました。ネット口座やネット証券を持っています。そのため、デジタル遺産が存在することはわかっていますが、何があるのか?も不明です。しかも、スマホやパソコンにはパスワードが設定されています。パスワードは知らされていません。もし、スマホやパソコンを開くことができない場合、全ての遺産を把握できないことになりますが、問題はありませんか?
【A】まず、パスワード設定がされている場合は、ロック解除の回数制限に注意すべきです。特に、数字4桁ではなく、英数字記号との組み合わせの場合、ロック解除は極めて困難です。また、パスワードやパターン設定ではなく「生体認証(指紋認証や顔認証)」では解除不可能です。デジタル機器にアクセスできない場合には、《ネット口座などからの郵便物の有無》、《故人のメモ帳、日記、エンディングノートなどの有無》などを確認します。それでもダメな場合は根気よく、可能性のあるネット口座などに照会確認します。照会確認には、指定の書類提出が必要です。次に、デジタル遺産が特定できない場合でも遺産分割協議書の作成は可能です。例えば、「本協議書に記載のない財産が後日判明した場合は、別途協議のうえ分割する」など、後日デジタル遺産が判明した場合に備えた文言を入れることが肝要です。
相続手続き、遺言書・離婚協議書作成
相続や遺言、離婚協議などの法律相談は、行政書士ロビン法務事務所ににお任せください。
- 相続手続きの支援
- 資産管理の支援
- 遺言作成の支援
- 離婚協議書、夫婦間合意書の作成
